魔法のリンゴ

アールグレイに林檎の香り
袋を開けるとふあっと広がった
この香りは懐かしいもの
思い出すのは、兄と暮らしたアパートの台所
二十歳の頃
散歩の途中に見つけたミネルヴァ
ドキドキしながら選んだ紅茶

あの頃大切にしていたものは
小さな小さなガラスの瓶
素焼きでできてる黒い猫
桜の花びらを水に浮かべて
真っ白な雪に包まれた

授業をサボって練習したショパンはまだ弾けなくて
トランペットの音が遠く響く
いつまでもこどもで
いつのまにか大人で
浮かぶ景色に涙ぐむのは
いま、聴こえる優しいピアノと
まっすぐで透明な 歌う声

間もなく閉店の時間
今夜はゆっくり紅茶をいれよう











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by shokanshu | 2018-01-12 20:55