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手紙が届く

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店にときどき手紙が届く
珈琲をたてて
トーストをかじって
お腹が落ち着いたところで封を開けた









机に向かって返事をかく
葉書を選んで
頬杖ついて
たびたび目を閉じて

通りは夕暮れ
下校時刻 女の子たちの明るい声がする


たっぷりめの珈琲も
最後のひとくちを飲み干して
便箋をたたみ 封をした
レコードをかける
鼻の高いピアニストの弾くショパン
久しぶりに聴いた

帰ったら
静かに鍵盤に触れてみよう
憧れの曲がいくつかあったんだ













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by shokanshu | 2017-09-14 17:50

先生

目を閉じて
明日のことを考える
月曜日は 絵の先生
二十歳くらいのみんなが通う学校
わたしは先生として現れる

一人一人が向かう課題はそれぞれにあって
いま 何を考えている?
どこへ行きたい?
それを一緒に探る時間
みんなが描いた絵を前にして言葉を交わす
いつもうまく話せないけど
この時間がささやかにでもきっかけの一つになれたらと思う

「先生」
‥そう呼んでもらうのに慣れることはなさそうだけど
「先生と呼ばれたら、もう、先生なのよ」
わたしの先生の言葉を思い出す

明日はどんな絵
みんなのキャンバス 変わっているかな
浮かべながら
わたしも描きかけの絵に
色を重ねる


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by shokanshu | 2017-09-11 01:22

夢をみた

久しぶりに
手挽きのミルで豆を挽き、珈琲をいれた
アトリエ部屋での時間が浮かぶ
しんとした夜更けの廊下
ぽた ぽた と抽出される珈琲の音は
泉に響く雫の音

お気に入りのカップは持ち手がなくなってしまったけれど
やはりこれで飲むと美味しくて使ってる
珈琲をひとくち
頭に浮かぶフレーズ
それを探してCDに手をのばす
なかなか曲が現れなくてそわそわし始めたところで
なくしたと思っていたCDを見つけた

珈琲をひとくち
ボリュームを上げて
ああ、こっちだった と
探していたフレーズはどこかへ消えた

懐かしいノートを見つけた
夢をかいたノート
夢をみた その内容よりも
それを書いた時間が思い出される
それも夢のように感じる
めくり始めて
CDプレーヤーから聴こえてくる声
「夢をみた」

しばらくして
「マリコ」
(この曲が入っているのは知っていて、かかるのを待っていた)

珈琲をひとくち
お隣りさんから美味しい匂い
よし
夕飯の買い物へ出かけよう



















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by shokanshu | 2017-09-05 19:09

阿佐ヶ谷 雨水さん

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阿佐ヶ谷の「珈琲 雨水」さん
黒に近いこげ茶色の壁
静かに流れるピアノ曲
席を見つけて腰掛ける
それから
珈琲が抽出される音

8月末で閉店
飾らせていただいておりました絵が帰ってきました
珈琲と絵がお好きなお客様が見立ててくださり
あの静かな空間で過ごす時間がはじまった二つの絵
「めざめ」「keyhole」
この一年どうだった?元気だったかい
尋ねると
うん!
嬉しそうに答えてくれました

雨水さんでは、その絵のことだけ考えられました
珈琲とケーキに満たされて
ほっとした心地で眺める
よく思い出したのは
描いていた時間 場所のこと

井の頭公園のずっと先
アトリエに借りていた古いアパート
築40年(50年だったかな?)
風呂なし トイレ共同 六畳間
他に住人はなく
部屋には絵の道具だけ
ストーブの上で湯を沸かし
ゴリゴリと手挽きミルで豆を挽く
珈琲をそばに
朝まで絵を描いたのでした

アトリエを借りられたのは一年ほどだったけど
あの時間に
わたしの絵は守られました
家には洋服や本、集まってきた小さな雑貨たち
食事や洗濯、暮らしというものがあり
混乱してなにもできない
一度、離れてみたく感じて部屋を見つけたのでした

絵と珈琲
そこではそれだけを
珈琲に力を借りながら
絵のことだけを考える
一年後
制作は暮らしの中へ
もう大丈夫
大切にするあの時間をもてたから
大丈夫

雨水さんでの時間もそうだったのかもしれない
アトリエと違うのは
様々なひと それぞれの時間があったこと
一息つける、大切にしたい場所
本を読んだり手紙をかいたり、ただぼんやりしたり
そこに絵はあって
守られた場所を感じる


雨水さん
お疲れさまでした
たくさん、ありがとうございました


















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by shokanshu | 2017-09-03 06:42